東京の中高層地域に建つコンプレックスビルの計画である。
小さな規模のビルであるが、各階異なるプログラムを要求された。
1階は店舗、2〜4階はオフィス、5〜6階がアトリエ兼住居である。
オフィスビルや店舗などは、通常効率を求めるため最大限の床と接地性を求められる。
またこうした類の建物は、周辺の地域とは独立した存在になりやすく、地域との連続性は、無いことがおおい。
我々の求めるものは、地域に対しても開かれ、そして、ビルとしての接地性のよさをもつものである。
そこで、商業的なプログラムに文化的なプログラムを付加することを考えた。
外形は、法的制限から導き出し、そこから最大のボリュームを決定した。
階段空間は、一カ所にまとめると平面的にはコンパクトだが、
それをボリュームと捉えるとどこにも配置しがたい存在であった。
そこで、階段をリニアな空間と捉え、ビルの外周に巻き付けることにした。
そこに文化的なプログラムとしてギャラリーを付加することで、階段を豊かな足取りで体験出来るようにした。
このことで、外部に露出した階段が、人の流れを視覚化させる。
ギャラリーは地域の人々に解放し、上層階まで立ち入ることができる。
訪れた人々とビルで働く人々の間に感覚的、物理的接触が生まれる。
さらに、各階の異なるプログラムを繋ぐ機能を併せ持ち、ビル全体の一体感を生む。
このように階段空間が、別の用途を併せ持つことで、上層階の店舗の接地性も高くなっている。
ビルの周囲をスチールメッシュで覆い、その上からIVY(ツタ)を這わせることで
建物としての一体感を強化しようと考えた。
IVYによって作り出されるファサードは、周辺地域に対し存在感はあるものの、
冷たく商業的な印象は与えず、大樹が立っているような温かな印象を与える。
大樹の幹に添う人々の姿が垣間見えるシーンは、気軽に立ち寄れる、おおらかな存在として人々に映る。
このように、性格の違うプログラムを複合させることで、新たなビルの可能性を創出し、
地域にたいして開かれたビルのあり方を提案したい。
This is a complex building project which includes space for the client’s atelier, office space and galleries located in a mid-to-high-rise housing area in Tokyo.
The exterior stairway is surrounded on the outside and the galleries are settled along the exterior stairway.
It is opened for any member of the neighborhood.
The ivy covering the outer will link this building with neighborhood gently.