HOTEL KYOTOLOGYは東山麓に位置し、近くに三十三間堂が建つ立地ではあるが、周辺の民家や集合住宅からの視線に晒されている場所に建っている。周囲からの視線を遮り客室への通風採光を確保すると共に京都らしい風情を滞在者に感じてもらえる空間づくりを目指した。
京町家における坪庭は、住人だけの外部空間であり通風・採光、石や植物が心を落ち着かせてくれ、四季を伝えてくれる。坪庭がある日常をホテルでの体験に取り入れた。
道路斜線と、景観条例に合わせて建築のボリュームを後退させ、容積確保の為に建ぺい率最大の4層の建築とした。そこから容積率を満たすために坪庭(外部空間)を挿入した。 坪庭は一階から四階までの客室に合わせて様々なタイプを設け、ベッドルームとそれを正対させている。一階は同敷地にあった灯籠、石、樹木を再構成し、二階以上は砂利と苔により京都の山々を思わせる築山で構成した。また、全てに石と錫を組み合わせた光る錫石(アートピース)を配置し、苔の築山と錫石は開口部からもたらされる光と共鳴し豊かな表情を生み出してくれた。
坪庭からもたらされる自然の息吹は、訪れた旅行者に京都らしい風情を提供してくれる。