ハウスメーカーS社の見学工場にある、コミュニケーション棟のエントランス待合スペースの計画。
”他社との差別化” と ”工場の知名度アップ” を目的に、ブランド力を伝える情報発信の場としての機能が求められた。
他社との差別化を計るためには、他社には真似できないようなアイコニックな空間にする必要がある。
また、工場の知名度アップのためには、伝えた情報が見学者の記憶に残りやすい状況として、体験型の空間が必要であると考えた。
ハウスメーカーの6つのコンセプトキーワードである「テクノロジー」「未来」「先進性」「信頼性」
「シンプル」「シズル感」というワードからインスパイアされたデザインキーワードとして、
「高い技術力」「前衛デザイン」「優しい空間イメージ」「統一感」「体験型」という5つのワードを抽出し、
それらを表現するものとして、魚達の住処である「テーブル珊瑚礁」のような空間を提案した。
太陽の光を海底から受け止めるテーブル珊瑚には、そこを住処として暮らす様々な生物達が住み、色とりどりに賑わっている。
これらに着想し、テーブル珊瑚状の家具を拠り所に人々が集まり、海底の様な賑わいを体験できる空間を表現しようと試みた。
テーブル珊瑚による空間構成は、既存の床壁天井に手を加えるのではなく、単体として成立させており、
彫刻の様で実体は家具と言う新しい領域を獲得している。
それら数台を組み合わせることで、全体としてはインスタレーションと呼ぶに相応しい体験型の空間としながら、
ワンルーム空間の中にいくつかの領域を作り、それぞれの場に機能を持たせている。