“家族と街をつなぐインスタレーションショップ”
本プロジェクトは都市的な特徴を、インテリア空間を通して鮮鋭化し、訪れた家族に各々の原風景に近い“体験”と“記憶”が獲得できるストアインスタレーションとなることを目指している。
敷地は、南に自然が溢れる靱公園と北にファサードとなる都会的な通りの性格が大きく違う二つの空間に挟まれている。
本計画は小学生時代の6年間、登下校に用いるランドセルのギャラリー兼シ ョップであり、顧客はこれから小学生になる子供とその家族である。
そうした顧客に向けたショップとしての用途をもつことと、よりよく商品を見せて物販するという概念から“体験”と“記憶”を来訪者に与えるという概念にシフトチェンジすることでショップの存在を知らしめ、長年この地のランドセルショップとして親しまれることを期待している。
具体的には縦線と斜線を用いた格子パネルの構成によって空間を曖昧に間仕切っている。子供の頃の原風景や原体験を思い起こしながら、「空間の広い狭い」「格子の複層によるシークエンスの濃淡」「子供だけの空間」「立体的で迷路の様な動線」などの場所を設えた。
訪れた家族は鞄を選びながら内部を歩くことで様々な空間を体験しながら一生に一度の大切な時間を過ごす。大人も子供も思わず遊びだしたくなるような場所を設え、親子でこの空間を楽しんでもらえることを期待している。
それは“体験”と“記憶”を同時に持ち帰るインスタレーション空間となっているのである。