L'angolino - GENETO-works
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<群馬県館林市>
この建物は、群馬県館林市に建つイタリアンレストランである。
地方都市特有の、国道沿いには巨大チェーン店が立ち並ぶ風景と、国道を入ると地元の小さな店舗と住宅、畑が広がる風景の中にその建物はある。
建物を設計するにあたり、敷地周辺の建物のリサーチを行った。
その結果、地元のお店は、ラーメン店が多くゆっくりと地域の人々が集えるようなお店はなかった。
さらに、建っている建築形態の形式が2種類程に限定される事が分かった。
それは三角屋根庇付き、これは住宅に多く見られ、陸屋根庇無しは、店舗に多く見られるというもので、多少の規模や色彩は違うものの、大別するとそうなる。
そのような周辺環境の中に埋没しない外観と、人々が集える場所としてランドマークとなる構えを持つ、建築を造ろうと考えた。

<地方都市でのセルフビルドの可能性>
今回のプロジェクトは、3つの要因からセルフビルドによる新築という方式を採用することとなった。
1つ目は、建築する地域の人々とのコミュニティー形成のため
2つ目は、決められた予算とクライアントの技術力
3つ目は、地方都市特有の賃料

今回のプロジェクトでは、イタリアンレストランという店舗に留まらず、地域住民が集える空間を目指した。
一つ目の要因について、クライアントは、周辺住民に店舗の存在を早期から知らせたいと考えていたため、セルフビルドによる施工を行い、建てている段階から道行く住民とのコミュニケーションをはかることで、地域に根ざした地域住民の集まることの出来る場所となることを目指した。

二つ目の要因について、今回の計画に対する建築工事は、1000万円という低予算であった。
店舗の規模や、席数などの与件を予算的に満たすためには、セルフビルドがもっとも現実的な選択であったと同時に、クライアントがセルフビルドを選んだのは、自身の経歴にも理由がある。
若い頃は自動車工場で働き、FRPでパーツを作る技術や、溶接技術を習得、更には建築の電気工事など、製造業を経験したためである。
また今回は、我々の家具工房(pivoto)が共同で造ることで、これまで我々が培って来た構造用合板による施工技術を用いるといったことにも、クライアントが可能性を感じていたこともある。

三つ目の要因は、賃料の体系である。
通常ならば、ビルのテナントの空き物件を利用したり、戸建ての店舗を改装することが多いが、今回の館林周辺は一般的な状況とは違っていた。
土地の賃料と比べるとテナントの賃料が圧倒的に高かった。
20坪の物件を探していくうちに、相場が8〜10万くらいであると分かってきたが、今回の敷地となった土地は、約84坪で4万円代という値段であった。
テナントで同じ工事費をかけて改装を行うよりも、土地を借りて新築を建てるということに話が到ったのはこういう背景がある。
上記のような状態は、地方都市に於いて建築を建てることの可能性を大いに広げていると実感した。

<空間と構造>
館林の人々は、狭い地域社会に於いて、お店で食事をしていることが分かるのを嫌う人が多いこと、それとは対照的に全く中が見えないことはタブーとされた。
建物に求められたことは、視線的には、閉じていても、感覚的には開いている「閉じつつ開く空間」ということであった。
合板を使い、この空間を成立させるために、我々は壁の厚みに注目した。

視線的に閉じるといっても、自然光の入り込む場所を与えたかったので、小さな三角窓を設けた。光は通すがよほど近づいて覗きこまない限り、中の様子を容易にうかがい知ることはできない窓である。

内部のプログラムは、ホールとカウンター、厨房とトイレである。そして、空間を作る形式として我々は合板で出来た門型フレームを採用した。このフレームを10枚交差させ、その重なりの位置や角度は内部のプログラムを分節していく。ホール部分は、天井高を高くし、小さい建物ではあるものの広がりを感じられるようにし、厨房側は、低くなっているが、ホールから厨房までワンルームで、一つながりとなっている。
内部のプログラムに合わせて、門型フレームの頂点を上下させることで、屋根は多角形になり、外観は遠く関東山地の山並みにも重なる形状となった。

壁の作り方は、構造用合板12mmの板で、断熱材35mmをサンドイッチのように挟み込むことで、構造としての厚みと断熱も可能にしている。
更に、外壁と屋根面はFRP防水を施している。
以上のような壁で、壁厚が59mmという薄さとした。
そして、建物に対して、斜めにくまれた構造用合板24mmの門型フレームが屋根面の稜線を形成する。
屋根面は、多角形とすることで、折半のような構造となり強度を確保するとともに、屋根・壁と門型フレームが一体となったモノコック構造を形成している。

内部空間に偏りをもたらす天井面とそれを支える門型の構造体、三角小窓が作り出す空間は、優しい光のあふれる豊な空間で、客と料理人が一体となれるような臨場感を持った空間となっている。


<地域に根付く建築>
今回、館林の街で、新築の店舗を建てるにあたり、幾度か通う中でいくつかの箱もの建築をみることがあった。
大きな広場を持ち、立派な施設があるにも関わらず、人の姿がない。
商店街もシャッター街となり、駅前の賑わいもない。
そのかわり、車で走っていると、住宅街の中に突然店舗が現れ、そこが賑わっている様子をしばしば目撃した。
それは、地域の人々のコミュニティーに溶込んだ店舗だった。
つまり、立地ではなく、その場所でいかに周辺の人々とうまく関係を作れるかという事が、この地域における店舗のあり方だと感じた。
我々は本計画を通して、地域の人々が集う為の空間であり、地域の人々との関係を作り上げるためのツールとして働く、そのような切っ掛けとなる建築を目指した。
地方都市だからこそ、今回の建築は成立し、ある種の懐の深さを持ち得る可能性があると確信している。こうして、街になじみ、存在として溶込んでいく事で、この街特有の賑わいを持ってくれる事を願っている。

<小さな公共の場所>
我々は、これまで人々が集える空間を店舗や住宅、ギャラリーなどを通して、ケーススタディーを行って来た。
例を挙げると、初期の「SCAN」(2005年)から、地域の人々が集まり、コミュニティーが生まれる小さな公共空間というものを思考し、建築に実践して来た。
SCANは車のショールームであるが、アートギャラリーやコンサートにも対応できる空間である。
(我々が、扱っている小さな公共の場所というものは、いわゆる公の所有する公共の場所ではなく、個人が所有していながらも、地域の人々が自由に使える事を意図した公共の場所を指している。)

この考えがより強くなったのが「TANADAピースギャラリー」(2009年)である。
この建築はアートギャラリー、公民館、図書館、コンサートホール等、地域住民が自由に使い方を考え、地域に開かれた空間を造った。
上記した両者共に、我々の想像以上に多様な使われ方が行われ、周辺住民に受け入れられている。
その他の、住宅や店舗の設計においても、同様に地域に開かれた空間を目指し、実践してきた。
L’angolinoでは、建物を建てるという行為や、周辺地域とは異質なファサードにより、地域の話題作りから公共の空間を作ろうと試みた。
この建物は、内部だけではなく、建物とその周辺に小さな公共の場所を成立させようとした。
けっして大きなボリュームを持つ空間ではなく、小さな空間が有効に使われることで、地域のつながりが生まれ、特徴ある地域へと成長してくことを期待している。


<合板の可能性>
合板は、材料の調達が容易で且つ加工性に富んだ素材であり、それ自体が建築の構造体としての十分な強度を持つものである。
我々は、これまでより、合板を用いた「家具以上建築未満」のスケールのものを手がけてきた。
それは、家具工房としてのpivotoを持った時から、家具のような作り方で空間を作れないかという興味を持っていたからである。
建築でもなく、家具でもなく、両者の間の様なものに新たな可能性を感じているから、こうした取り組みを続けている。
初期の作品「scan」で初めて合板による構造体を持つ空間を作った。
薄い板が連続することで、空間の形が見えてくる。それは、建築にはないスケールとディテールが作り出す空間である。
これを期に合板を用いた空間を幾つか手がけた。
DG-house(新建築 住宅特集 2010年2月号)では、収納としての壁が居室を分節している。その家具的なスケールの部分が、テーブルとして伸びたり、ソファーになったり、壁や床がダイレクトに生活に必要な設えを作っている。
半年間のインスタレーションとして作ったdieselの「power plant」では、9mm合板をつなぎ合わせることで、薄くて長い板が既存空間を分節し、商品と客をより近づける空間を作り出している。
これまでの経験から、合板だけによる建築に取り組んだものが今回のL’angolinoである。
建築的なスケールの門型フレームであるが、厚みは24mmと非常に薄い。外壁も59mmという薄さで作られている。今回の建物は、各部分がダイレクトに家具的な設えにはなっていないが、施工方法や完成の精度など、家具を作っている我々だからこそ出来た成果物である。
建築的な側面と家具的な側面を、併せ持つことで特有の空間の質を獲得している。

現在設計中の住宅では、今回のプロジェクトを踏まえ構造用合板を用いた構造を検討しており、今後もこのような合板を構造体とした建築や空間の可能性を広げるため、岐阜県森林アカデミーにて供試体を持ち込み、強度試験を行うなど探求を重ねている。


This structure is an Italian restraint built in Tatebayashi city Gunma.
It stands in a typical suburban city setting, where huge chain stores stand along the national road and when you turn off the national road, local small shops, houses and production fields appear.
For the starting point to design structure, we conducted a research on the surrounding buildings.
As a result, in terms of local eating-places, there were many Ramen noodle shops however there were no places where the locals could leisurely come together.
In addition, we found out that the typology of the buildings standing could be limited to only 2.
There are some differences in the scale and coloring of the buildings, however when broadly categorized, it could be divided to the ‘pitched roof with eaves building’, which could be mostly seen in housings and the ‘flat roof no eaves building’, which could be mostly seen in stores.
Thus, we decided to design a building that has an exterior, which would not sink into the surrounding atmosphere and become a landmark where people could come together.


We decided to adopt the method of newly built from the hands of the owner for this project from 3 main reasons.
The fist one is because we wanted to formulate a community with the local people where we build.
The second one is because of the decided budget and the client’s technical capability.
The third one is because of the rent peculiar to suburban cities.

For this project we aimed to create a space, which is not only an Italian restraint, but a space where the local people could come together.
In regard to the first reason, the client wanted to inform the local people of the restraint from early stage, so through constructing it in the Owner’s built way and having communication with the locals walking through the streets from the building stage, we aimed the building to become a community rooted space where the local people could come together.

For the second reason, the budget for this project was low as only 10 million yen. In order to fulfill the requirements as the scale of the restaurant or the number of seats in budget, the Owner’s built was the most realistic option and at the same time why we chose that option had to do with the clients career.
It was because, when he was young, he worked at a car factory so he had the skills to create components from FRP and welding. In addition, he had experience in manufacturing as in the electric work for architecture.
Along with that, the client was interested in the potential of working with our furniture studio (pivoto), which has cultivated its structural plywood manufacturing methods, and to utilize it.

The third reason was because of the organization of the rent.
Under normal conditions, it is more common to use an open property of a tenant building or to refurbish a detached store building, but the conditions around Tatebayashi was different from the normal.
Compared to the rent of the land, the rent of a tenant room or building was overwhelmingly high.
When we were looking for a 65㎡ property, the market price was around 80~100 thousand yen, however for the land which became the site for this project, the rent was only 40 thousand yen for 280㎡.
This was the background of how we came to the decision of renting a land and build a new structure over renting a tenant room and to refurbish it spending the same amount of building cost.
We realized the situation explained in above is expanding the possibility of building architecture in suburban cities.


Many of the people in Tatebayashi dislike to be known eating in a restaurant in a small community and in contrary it was taboo to make the restaurant totally concealed.
The requirements for the building was to be closed visually but open sensibly, creating a ‘Closing and Opening Space’.
In order to achieve this space by plywood, we focused on the thickness of the wall.

Even though we enclosed the building visually, we wanted to create a space where the natural light comes in so we created a small triangular window. The window lets in the light, but not unless you go close to it you cannot easily see the situation inside.

The program of the interior is a hall, counter, kitchen and toilet. For the form to constitute this space, we adopted the portal frame made by plywood. We made 10 of these frames crossing, and the position or angle of these intersections divide the programs of the interior. The ceiling height of the hall is high, creating a roomy atmosphere even though the building is small and the ceiling height of the kitchen is low but making a connection from the hall to the kitchen as a one room.
Through changing the height of the portal frame’s vertex in accordance to the interior program, the roof becomes polygon making the exterior shape overlapping the Kanto mountains shapes in the further distance.

We constituted the wall by sandwiching 35mm insulation with 12mm structural plywood, enabling the thickness as a structure and insulation.
In addition, the outer walls and roof are applied FRP waterproofing.
Through this the wall thickness became thin as 59mm.
The 24mm structural plywood portal frames assembled diagonal to the building creates the ridgeline of the roof.
Through making the roofs surface a polygon, it becomes a folded-plate structure securing the strength and creating a monocoque structure integrating the roof, wall and portal frame as a whole.

The space created by the ceiling plane making a deflection in the interior space, the portal structural element supporting it and the triangular small windows is a rich space with abundant soft light and has an atmosphere where the customers and the chef could be united with realistic sensation.


Upon creating this new restaurant in the town of Tatebayashi, through the few visits to site we had some occasions to see some public buildings, which are so called the ‘Box Architecture’ in Japan.
Even though it has a huge square and a magnificent facility, there is no sight of people.
The local shopping street has many closed down shops and offices and the front of the station is deserted.
Instead, when we were passing by the area by our cars, we often saw shops suddenly appearing in the middle of the residential area and being busy with people.
It was a shop that had fitted into the community of the local people.
Hence, we became aware that the key to the shops in this area isn’t about the location, but how to create a good relation to the people of the surrounding where the shop is located.
Through this project, we aimed to create an architecture that becomes the gathering spot for the local people and an architecture that could serve as a tool or become a trigger for building up a relation with the local people.
This architecture was able to formalize because it was in a suburban city and we are certain that it has a possibility of having some kind of a broad capacity or tolerance to it. We wish this architecture would have prosperity peculiar to this town through accumulating to the city and fitting in.


We have been conducting case studies of spaces where people could gather together through shops, houses and galleries.
For example, from the early works such as “SCAN”(2005) we have been thinking about a small public space where the local people could gather and a community could be formed and practiced it to actual architecture.
SCAN is a showroom for cars, but it can also accommodate art galleries and concerts.
(The small public spaces that we have been working on are not the typical publicly owned public spaces but the publicly intended spaces that even though owned by the private, the local people could freely use.)

This way of thinking became stronger when we designed the ‘TANADA Peace Gallery”(2009).
This architecture is where the local the people could think freely as how it could be used if it’s an art gallery, a public hall, a library or a concert hall and it is a space open to the public.
The two architecture that we have mentioned has been used more in a diverse way that we have expected and have been accepted by the local people.
Also in other designs like houses and shops, we aimed to create spaces open to the public as well and practiced.
In L’angolino, through the act of building and the peculiar façade to the surrounding area, we tried to create the public space by making news to the area.
For the 2 early projects, we tried to create the public space only within the interior of the building, but for this building, we tried to not only create it within the building but also around the building and surrounding areas.
It isn’t architecture by no means with huge volume of space, but through the effective use of the small spaces, we expect it to have the relation with local area and progress the area to have a distinctive character.


The plywood is a material that could be supplied easily and has an abundant ways of processing, and it self has the sufficient strength to become the structural element of architecture.
We have always used plywood for products in a scale of ‘larger than a furniture, smaller than architecture’.
This is because we always had an interest of creating a space in a way we create furniture since we had Pivoto as a furniture studio.
We have been continuing this way of approach because we find the new potential of something in between of architecture and furniture.
It was the first time when we created space with plywood as a structural element in the early work ‘Scan’.
Through the continuous thin boards, the shape of the space starts to emerge. It is a space that has the scale and detail that a typical architecture wouldn’t have.
Since then we have produced several spaces with plywood.
In the DG-house (February 2010 edition of Shinkenchiku Jutaku Tokushu magazine) the walls that serve as storage divides up the rooms. The furniture like scale of that part creates the installation necessary for living such as where it extends and becomes tables, sofas, walls or floorings.
In the diesel ‘Power Plant’ which was created as a 6-month installation, through connecting the 9mm plywood it divides up the existing space with thin and long walls and creates the space where it makes the products and customers closer.
Through these experiences we learned and L’angolino was the first project to create architecture with only plywood.
The portal structure has an architectural scale, however the thickness of it is only 24mm, which is extremely thin. The outer walls are also made in the thinness of 59mm. For this structure, each components doesn’t have a direct installation of furniture like character, however it is an outcome because we were creating furniture in terms of the way we construct or the preciseness of the finished product.
It achieves a special quality of space through having both the aspects of architecture and furniture.

For the housing project we are currently designing, we are considering the structure constituted by structural plywood based on the L’angolino project and in order to expand the possibilities of plywood as structural elements for architecture and spaces we are seeking though doing strength tests at the Gifu prefecture forest academy.

Spec

L'angolino

2013

Main use : Italian restaurant
Location : gunma
Site area : 278.05m2
Building site : 60.95m2
Total floor area : 60.95m2


Contructor : Kazuhisa Sunaga, pivoto
Furniture : Kazuhisa Sunaga, pivoto
Structural engineer : Takashi Takamizawa

photo : Yasutake Kondo

site process : http://ameblo.jp/geneto/theme-10018523010.html